2020年11月例会 「スガ政権下と野党共闘」

 11月8日(日)団地住民センターにおいて、第80回例会を開催しました。コロナ感染の新たな拡大傾向を考慮して急遽25名の人数制限をかけての開催となりましたが、結果24名の市民の皆様にお集まりいただきました。

 講演会のテーマは、「スガ政権下と野党共闘」です。7年以上に及ぶ害多き第2次安倍政権を内閣中枢で支え、その連帯責任を問われるところの菅首相。安倍路線を踏襲し、かつ、より強圧で隠ぺい体質の強い菅政権下で我々はどうたたかったらよいのでしょうか。
 お話は、弁護士の神保大地さんです。

 

 神保さんは、安倍政権の問題点から振り返り、それが日本社会にもたらした状況、また、コロナ禍とその対策でさらに明らかになったことなどを踏まえ、野党共闘との連携を含めた市民運動のあり方について、これまでの成果から今後の方向性、一人からできる運動のヒントなど多岐にわたり力強く歯切れの良い語り口でお話しくださいました。

 

<安倍政権の問題点・安倍政権末期の状況・コロナ対応>

 モリ・カケ・サクラに代表される国政の私物化、自己正当化のための官僚やマスコミの統制。国会を軽視し説明責任を果たさず、自ら率先してヤジをとばし、女性議員には差別的態度をとってはばからない。国民から頼まれてもいない憲法改悪には政権期間を通して執念を燃やし、憲法改正のルールを変えようとしたかと思えば、法の解釈を閣議決定で変え、特定秘密保護法、共謀罪、安保法の成立など、数々の立憲主義の破壊行為を行ってきました。

 安倍政権が内閣人事局をつくって官僚の人事に介入し、行政の継続性や官僚体制の独立性を損なったことは国にとっての大きな痛手です。結果、忖度をはびこらせ、資料の改ざんや隠ぺいが図られ、その従事者に自殺者も出す結果となりました。
内閣官房組織に警察上がりの人物を置くことは公安情報収集強化や悪用を疑わせ、前川元文部科学事務次官の件や最近では道警ヤジ排除の件につながります。

 コロナの政府対策でも明らかなように徹底したおともだち政治と、反対勢力の排除をおこない、一般市民、ましてや弱者の視点からも遊離しています。コロナのような危機事態でより弱いもの(住所不定者、女性など)がさらに困窮しています。
本来は、国内外の状況や関係性を考慮したうえで、科学的合理性のある政策と適正な公助が求められます。

 

<スガ政権の実績・野党共闘・わたしたちは何をすべきか>

 日本学術会議委員6名の任命拒否の問題では、安倍首相よりひどい答弁に終始して(支離滅裂の理由付けなど)国会審議を無駄に延ばしています。そして、安倍首相と変わりなく公助を渋る姿勢を貫き、コロナ危機に対しても無為無策・自己責任の菅首相。
 遅くとも1年以内に来る総選挙に備え、市民運動の機運を高めましょう。

 安倍政権の下での明文改憲の阻止、立憲民主党の誕生や野党共闘の発展、声を上げ続けることで勝ち得てきた現金給付などのまともな政策の実現など、市民運動の成果を誇り、糧にしましょう。

 安倍政権下で悪化し、破壊された政治を正常化するための方向を決めましょう。(いのちと人間の尊厳を守る、差別なき社会、軍事より福祉など:『立憲野党の政策に対する市民連合の要望書』参考)

 SNSのような新しいメディアが若者の意識と行動を変えつつあり、検察庁法改正策動(黒川検事長定年延長問題)失敗などに大きな役割を果たしました。声をあげ、また、広げる方法として活用しましょう。

 身近に見るデモや集会などの定期的な取り組みや運動が今の10~20代の若者の意識や投票行動に大きな変化を与える一因になっている可能性があります。声を上げることを継続しましょう。

 

 「戦争させない市民の風・北海道」などの地域の組織は、地域の草の根団体などの要望を吸い上げ、それが中央の市民連合の要望書に反映され各政党に渡されます。市民に寄り添った政策そして候補者を各政党が一致して掲げるよう野党に働きかけ、連帯しましょう。

 「戦争させない市民の風・北海道」が『北海道による連携と共同の提案』で掲げている、(一選挙区レベルではなく)北海道レベルで政党と市民が連絡会を持って候補者を調整し、北海道全体で勝つことを目指す選挙戦略は大事であり、すでに成功例があると神保弁護士は強調します。

 市民と野党の共闘を強めて政治を動かしましょう。

                (講演レジュメはこちらからご覧ください。)

 

(HP担当者より)
 2020年9月に市民連合が立憲野党に提出した「立憲野党の政策に対する市民連合の要望書」は、こちら(☚click)からご覧いただけます。
 この要望書は、「自民党政権に代わり、新しい社会構想を携えた野党による政権交代を求めていきたい」と述べ、次期総選挙を、自民党政権の失政を追及すると同時に、コロナ危機を踏まえ、「いのちと暮らしを軸に据えた新しい社会像についての国民的な合意」を結ぶ機会だと指摘しています。そして、(1)憲法に基づく政治と主権者に奉仕する政府の確立、(2)生命、生活を尊重する社会経済システムの構築、(3)地球的課題を解決する新たな社会経済システムの創造、(4)世界の中で生きる平和国家日本の道を再確認する―の四つの柱をたて、15項目を野党に要望しています。