2021年10月  第15回総会記念講演会「市民運動が育んできたもの」

 10月9日(土)北広島芸術文化ホール活動室において、35名の市民の皆様の参加で、第15回総会と記念講演会を開催しました。

 「市民運動が育んできたもの」というタイトルで弁護士の神保大地さんにお話していただきました。講演の要旨をご紹介します。(文責:北広島九条の会) 

 
 市民運動とは民主主義を実現することであり、これまでも多くの実績があり、これからも運動自体が変化しながら将来にわたって続いていくでしょう。
 まず「九条の会」の歴史をごく簡単に振り返ってみましょう。2003年にイラク戦争が始まりイラク特措法も制定される中で、翌2004年6月に「九条の会」が発足します。
 発表された「九条の会アピール」で、加藤周一さんは運動の統一よりも横の連帯を、鶴見俊輔さんや奥平康弘さんは憲法9条に基づいた外交方針・政策を説いていました。小田実さんがおっしゃった「武力を使ったらだめだ」ということは、アフガニスタンのタリバン政権を「武力」で倒したアメリカが結局は撤退せざるをえなかった今年2021年の現実を見ても、先見性があったと言わざるを得ません。
 2008年には全国で7000以上の「九条の会」が成立しました。その後の世論調査で憲法9条改正反対が賛成を上回るようになりました。

 
 また、1990年代以来の政治の混迷の結果、立憲主義や民主主義を守れない今日の政治に帰着してしまいました。一方、その解決に向けて市民運動の重要性を多くの人びとが認識し、運動を広げて実績を積み重ねてきています。例えば、小学校の学級編成基準が40年ぶりに改訂されたことや核兵器禁止条約の成立、ジェンダー平等の大きなうねり、新自由主義の否定に向かう動きなどがあります。

 
 市民運動といえば「市民連合(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)」の存在が非常に大きいと思います。2015年の安保法制制定後に設立された「市民連合」は現在全国で結成されており、国政選挙で野党共闘を進める取り組みを精力的に行うだけでなく地方選挙でも活動しています。その運動は安保法制反対から政権打倒・政権交代の運動に変化してきており、こうした変化こそ市民運動の将来性を物語るものです。

 
 今後の市民運動は、とにかく一致点を見出したら一点でも協力すること、絶えず要求と監視を続けていくこと、そして過剰な期待をせずに「よりましな民主主義」をめざすことが重要ではないでしょうか。


 これからの課題として、後輩や子どもたちを民主主義の担い手として育てていくことが求められています。
 そして、よりまともな政治や社会を実現していくために、理想をあきらめないことはもちろん大事なことですが、現実に焦ったり絶望したりせず、粘り強く、そして縦横のネットワークを常に忘れないこともとても大切なことです。

(講演レジュメはこちらからご覧ください。)