第11回総会で中村睦男さんが記念講演(再掲)

9月3日、北広島九条の会は第11回総会を行いました。記念講演に、市内在住の中村睦男北大名誉教授(元北大総長)をお招きしました。演題は、「憲法改正とは何か」でした。40人を超える市民が、熱心に耳を傾けました。

中村さんが、北広島九条の会に招かれるのは、これで4回目です。私たち九条の会の活動を見守ってこられた中村さんは、憲法学の高名な権威としてさまざまな状況のなかで憲法理論を私たちに教示してくれました。


講演に先立つ「講師紹介」で、中村さんがこの度、核兵器の廃絶を目指す「ヒバクシャ国際署名を推進する北海道民の会」(9月26日に結成総会)の「呼びかけ人」として名を連ねておられることが参加者に伝えられました。

講演では、はじめに安倍首相がビデオメッセージを国民に流したことに触れて、「内容もさることながら、一番びっくりしたのは、国会での質疑に答えることなく、自民総裁の発言だからとか読売新聞を読め、とかに終始したこと」だとそのあまりの「軽さ」を批判しました。またオリンピック開催の2020年を「新しい憲法が施行される」時期に重ねていることについて、憲法を「ついでに」という印象が強い、と述べました。


中村さんは、各国憲法における憲法改正手続きに触れて、世界の圧倒的な国は、一般の法律より改正手続きを厳しくする「硬性憲法」だ。最高法規としての憲法は、永続性を有することが求められ、同時に高度の安定性と政治や経済の動きに適応する可変性が求められるといいます。

その点で、安倍政権の今のやり方は問題が多いこと、そして「自民党憲法草案」の中身も「押しつけ憲法」、「国防軍の創設」、「天皇の元首化」、「公益及び公の秩序による基本的人権の制約」、「個人としての尊重から人としての尊重にあいまいにされる」など多くの問題を抱えている、と指摘します。


現憲法の策定時には、在野の鈴木安蔵主宰の「憲法研究会」の資料が参照されたり、国会ではもちろん芦田小委員会ではかなり議論されているし、当時の貴族院でも活発に議論されていることが議事録から読み取れる、したがって「押しつけ」というのは当たらない。

そして憲法の中の「根本規範」ともいうべき人権宣言の基本原理は改変できないといいます。国民主権の原理、基本的人権の尊重、平和主義(9条)が、これに当たると断言します。

最後に「改革」が必要だと言います。それは「地方の代表の尊重」、「解散権は内閣が決めるもので自由裁量ではない」、「最高裁判所に憲法裁判所の権限を与える」などと指摘しました。


参加者からの質問に対し中村さんは、安保法や共謀罪法など政府は法律を錯覚している印象がぬぐえない、いま「恣意」で決めてしまっている、と安倍政権への厳しい注文を述べました。

講演レジメは、こちらをご覧ください。


記念講演の後の第11回総会では、ここ1年の活動を振り返り、改憲阻止へいっそう運動を拡げようと方針の提起がありました。これまで、この会が10年にわたって、9条を守ろうとする幅広い市民が集まりコツコツと運動を続けてきたことが、改憲の野望を許さない大きな力になっている、そんな感じがにじみ出た総会となりました。

2017年09月10日

(この記事は当時の記事に写真を加えて掲載しました)