6月10日(日)団地住民センターにおいて、34名の市民の皆さまの参加で、第69回例会を開催しました。
講師は、弁護士の作間豪昭さん。憲法応援団の副団長をされています。
演題は、「日本国憲法はこうしてできあがった」。「憲法の話」3回連続講座の第1回目です。
作間さんは、ポツダム宣言受諾(終戦)から日本国憲法が制定されるまでの経緯を時系列で説明、その上で「日本国憲法は押しつけ憲法」との意見について実際はどうだったのかを解説しました。
「紆余曲折はあったが、結果的にGHQのマッカーサー草案に基づく起草となったことは内政干渉にあたり、期間的にも拙速な憲法だ」という意見があります。
しかし、日本はポツダム宣言を受け入れており、“天皇主権の廃止、民主主義的傾向の復活”という連合国の要求に従う義務があったこと、マッカーサー草案には日本の民間の憲法改正案を参照した内容もあり現憲法に近いイメージが国民の意識に共有されていたと考えられること、また、戦前にはなかった女性参政権のもとでの普通選挙制の実施によって選出された国会議員による自由な審議を通過し可決されたものであることなどから、「押しつけ」という評価は一面的ではないか、と述べました。
中盤の「憲法改正クイズ」では、環境権の保障のためには憲法の改正は必要か?(〇 or ✖)などのクイズが出されましたが、逆に会場から質問や意見が相次ぎ、ヒートアップして参加者からストップがかかる場面もありました。
憲法改正の必要性の有無については、基本的な考え方として、立憲主義(憲法とは権力を縛るものであるという考え方)の立場に立ち、「権力の権限を拡大する場合には憲法に書き記す必要がある(改正が必要)」、一方「個人の権利については、人権を認める方向で拡大解釈は可能(改正の必要はない)」と話されました。
最後の質疑応答では、来日したベアテ・シロタ・ゴードン(*)さんの講演会を聞いたという参加者の方から、ベアテさんの「“押しつけ”とは、悪いものを渡したときの表現、私たちは当時世界的に最先端のよいものを手渡したのだから“押しつけ”ではない」という言葉を紹介していただき、腑に落ちる思いがしました。
終わりに、作間弁護士は「『憲法改正をいう人は何を目的としているのか』を見極めることが重要です」と強調して話を締めくくりました。
*ベアテ・シロタ・ゴードン(Beate Sirota Gordon, 1923~2012)日本国憲法第24条(家族生活における個人の尊厳と両性の平等)の草案を執筆した事実が1990年代になって知られるようになったアメリカ人女性です。ウィキペディアによる説明はこちらからご覧になれます。岩波ブックレット「ベアテ・シロタと日本国憲法 父と娘の物語」(2014)はこちらに紹介されています。
講演レジュメは、こちら(☚click)からご覧いただけます。
(なお、レジュメに「1945年8月15日終戦 = ポツダム宣言受諾」と書かれていますが、ポツダム宣言受諾日は8月14日です)