「盧溝橋事件から85年 第37回7.7平和集会」

 これから「3年間の改憲阻止の闘いがはじまる」

 7月7日 清末 愛砂(きよすえあいさ)室蘭工業大学 大学院教授が講演

 参院選が最終盤を迎えたこの日、札幌市で「7・7平和集会実行委員会」主催による『7・7平和集会』が行われました。


 清末さんは“憲法9条は無力なのか―ロシアによるウクライナ侵攻と日本国憲法―”と題してお話され、参院選の結果いかんにかかわらず、(衆議院解散がない限り)次の参院選までの3年間国政選挙がないことから改憲を阻止する新たな闘いが始まると強調されました。


 清末さんは、最初に今ロシアによるウクライナ侵攻が長期化し、甚大な被害が生まれていることに触れ、そこには「防衛や自衛の名の下で行われるものの危うさ」があり、国連憲章やジュネーブ議定書などの数々の国際法違反があると指摘しました。そして今これに便乗して政府与党や改憲野党から「国民を守るために9条改憲が必要」という主張が声高に叫ばれているが、これは立憲主義を全く理解していないもので「公権力は9条によって縛られている」ことを無視していると話されました。


 9条が支えてきた現実的な効果は、①日常の平和・戦争への関わりをできるだけ避ける、②民主主義・文民による統治、③経済的な効果(防衛費を抑えることで他の分野に予算をかけることが可能)、④対外的な意味での信頼関係の醸成(外交)、にあり、その意義を確認されました。アフガニスタンで活躍された中村哲さんが「戦争しない国としての信頼」があると言っておられたことも紹介されました。


 「改憲」の動きは、今回の参院選後、衆議院が解散されない限り次の参院選まで国政選挙がないことから、一気に加速される。文字通り、日本国憲法施行以後の「最大の危機」をむかえると清末さんは警告しました。

 自民党が目論む9条への「自衛隊明記」は、単に付け加えるだけにはならない。拡大解釈への道がさらに開かれ、「後法優位の原則」で9条は死文化され、すべてが軍事優先の社会へ。そして「自衛」「防衛」「国防」で対外的な緊張が高まっていくことになるだろう。「反撃能力」と言い換えても「敵基地攻撃能力」は先制攻撃で敵の領空を侵犯するもの。「(自衛官が)「お国のために立派に死ねる」ことを是とする社会になる。


 最後に清末さんは、防衛費倍化の道は私たちの日常生活のひっ迫を招き、平和的生存権を否定するものであることを説明し、9条がリアルにもたらしてきた<利益>をアピールしよう、と訴えました。

 これから3年間の「改憲阻止」の闘いが始まるが、「ゆるやかなまとまり、ゆるやかな連帯でつながる道を模索する」、個人のつながりを大事にする、そして参加しやすい、わかりやすい工夫を考えようと話を結びました。

 

(注)この日のお話には、当然ながら翌日8日の「安倍元首相銃撃」事件、参議院選挙の結果は反映されていません。