危険な「緊急事態条項」(2016/2/4)
参院選を控え、安倍首相は、あれほど言っていた「安保法の国民への丁寧な説明」もないまま、憲法改正を口にし始めた。
国民の理解を得やすいよう、大規模災害時に首相の権限を強める「緊急事態条項」を新設しようという。
しかし、緊急事態に対するには、何も憲法を改正することはない。東日本大震災で救助、復旧に携わってきた関係者の話もしっかり聞き、多方面にわたる国民的な議論を起こせばよいのではないか。
この条項が新設されれば、安倍政権お得意の拡大解釈で、政権が判断する「緊急事態」には、憲法19条の思想及び良心の自由、21条の集会、結社、表現などの自由も制限されるようになるのではないか。
デモも集会も圧力をかけられ、検閲の禁止も通信の秘密も守られなくなる恐れがある。
一番思い基本的人権までないがしろにされ、憲法の理念がなし崩しにされそうな危険を感じる。緊急事態条項は、健康な樹木を内側から食い破り、腐らせてしまう虫のようなものだと思う。(M.T)
憲法改悪まい進に不安(2015/09/28)
昨年12月、「アベノミクス」継続の是非を問うと言って衆院選に勝利した安倍首相が、「これで憲法解釈変更にも支持を得た」として今回、安全保障関連法を力ずくで成立させた。
最近の豪雨などの災害で、自衛隊員が被災者を救助する姿をテレビなどで見る。今回の安保法成立で、あってはならないことだが、自衛隊員に戦場で不測の事態が起こってしまったらどうするのだろうか。
安倍政権はここぞとばかり、自衛隊員を守るためには、自衛隊を国防軍(軍隊)にしなければならない。そのためには憲法を変えなければならないと打って出るのではないだろうか。
自衛隊員のリスクの増加が安保法を力で通した結果であることを棚に上げ、それを理由に憲法改悪に突き進む不安を感じずにはいられない。
自衛隊は現在、国民を守っている。それが軍隊になって、果たして変わることはないのだろうか。軍隊が国民に優先されることにならないのだろうか。
こんな心配が取り越し苦労に終わるよう祈るばかりである。(M.T)
(注)上記は、北海道新聞「読者の声」欄に掲載された投書を、ご本人の了解を得て転載させていただきました。