弁護士の神保大地さんにお話を伺いました。
「わが国の安全保障のために」という名目で、政府はかつてない大増税を進めようとしています。
かつては、ウソであっても「社会保障のために」という口実で消費税をはじめ増税が行われてきましたが、今進められようとしているのは「戦争する国」に向かっての大増税です。
防衛力強化の名の下に進められているのは「敵基地攻撃能力」の整備です。戦闘機やイージス艦に搭載するミサイルの能力向上や取得、極超音速ミサイルの研究開発など。安倍政権時代にすでに決まっていましたが、戦闘機の購入にも数千億円が計上されています。GDP比2%がNATO諸国並みとのことですが、そうすると日本はアメリカ・中国に次ぐ世界3位の軍事大国になります。
「自衛」のためと言いますが、周辺国にしてみれば日本の軍事大国化は自国にとっての脅威となります。北朝鮮がミサイルに固執するのはアメリカからの「自衛」です。ロシアのウクライナ侵攻もイスラエルのガザ攻撃も「自衛」の名の下に始まりました。日本の軍事大国化に対して、中国・ロシア・韓国・北朝鮮など周辺国は「アメリカと一体化して軍事行動に向かう国」という警戒感を高めることになります。
「経済安全保障」という言葉をよく耳にするようになりました。一連の「戦争に向かう道」を進むことについて国内に目を向けるとどうでしょうか。軍需企業は国家機密保護ということでいざとなれば国有化ですから倒産の恐れがなくなります。基地建設・整備でゼネコンは潤います。国家機密保護の口実で公安警察の権力は大きくなります。予選配分を通じて大学に対しても統制が強められています。セキュリティクリアランスということで人権が制限されます。
一方で人員不足が続いている自衛隊に対し18歳・22歳の名簿を自衛隊に自ら提供する自治体が多くなりましたが、これは個人情報保護に明らかに反します。防衛費の膨張は大増税でも賄えないとなれば、社会保障や災害対策など国民生活を犠牲にしていかなければなりません。
そもそも「安保三文書」は憲法と衝突します。しかもそれは、国会での議論抜きで閣議決定という政府の判断だけで決められたものです。これは明らかに議会制民主主義・三権分立に反します。主権者としての国民が「なめられて」います。ウクライナ戦争もイスラエルによるガザ攻撃も「自衛」から始まりました。戦争に対する恐怖を背景に「安全」「安心」を口実にした軍事大国化を許してはなりません。
そのためには政権交代です。世論調査によれば政権交代を望む国民が多数になりました。小選挙区制の下で、実現には立憲野党統一候補が必要です。平和のために頑張っている人たちを応援し、マスコミに対しても応援が必要です。民主主義を護り育てていくためには、憲法第12条で言う「不断の努力」が必要です。「戦争に備える」ではなく、「戦争が始まらないようにする」ことこそが重要です。